当院での人工妊娠中絶手術について
「妊娠したかも!?」 どうしたらよいですか?
妊娠といっても,置かれた状況によって受ける印象はさまざまでしょう。結婚して家族の発展を期待していた夫婦には朗報です。将来を考えている結婚前のカップルにとっても前向きに捉えてほしいことです。一方で,妊娠することを想定していなかった方にとっては困惑する状況かもしれません。特に未成年や独身の若い方は,どうしたらよいかわからず一人で不安になることもあるでしょう。
月経(生理)が遅れている,つわりのような吐き気や体調不良がある,「妊娠しているかも」という心当たりがある場合,薬局で購入できる妊娠検査薬を使って自分の尿で調べることができます。陽性,つまり妊娠している場合は,早め(1週間以内程度)に産婦人科を受診してください。陰性でも,不安や月経の異常があれば受診してください。妊娠やその他の病気について診断を受けることができます。
正常な妊娠だけでなく,流産や子宮外妊娠といった異常な妊娠の可能性もあります。いずれにしても妊娠は日々進行していきます。「妊娠したかも!?」のまま放置してはいけません。
妊娠・出産を望んでいて妊娠した場合
診察を受けて正常な妊娠が確認された後,分娩予定日が決定されます。その後,(本庄市の場合)本庄市保健センターで母子健康手帳と妊婦健診で利用する助成券の交付を受けます。妊娠初期には血液検査や子宮頸がん検査など,ひと通りの検査を受けます。その後,出産まで定期的に妊婦健診を受診します。
これらの健診や検査のほとんどは自費診療ですが,助成券を利用することで費用の負担が軽減されます。また,出産にかかる費用の多くは出産育児一時金でまかなえる場合がほとんどです。
妊娠・出産・産後には幸せな時間が多い一方で,いろいろな不安やストレスがかかることもあります。家族や友人,医師や助産師に相談するのもよいですし,保健センターでも相談を受け付けています。
計画外で妊娠した場合
既婚・独身にかかわらず,予期せぬ妊娠に戸惑うこともあるでしょう。正常な妊娠が確認されたら,出産に向けて準備を進めるのか,そうでないのかを考える必要があります。出産や養育が困難な状況にある場合は,夫・パートナー・家族,そして医師(母体保護法指定医師)と話し合い,進むべき方向を決める必要があります。人工妊娠中絶や特別養子縁組といった方法も選択肢に含まれます。本庄市保健センターでも相談できます。
また,埼玉県では思いがけない妊娠について「にんしんSOS埼玉」,性犯罪被害に関して「アイリスホットライン」という相談窓口もあります。一人で悩まず,まずはご相談ください。
人工妊娠中絶手術を考えている夫婦(カップル)の場合
人工妊娠中絶手術について相談したい場合は,一度受診してください。
問診・診察を行い,まず妊娠の状況を確認します。正常妊娠が確認された場合,改めて出産の可能性を検討し,場合によっては中絶手術の方針を決めます。
中絶手術は母体保護法という法律により適応が定められています。その法律の目的はあくまで母体を保護することであり,児の異常は理由に該当しません。
実際の患者さんごとの適応については,母体保護法指定医師である当院院長が判断します。
中絶手術を受けることが決まったあとの流れ
初診日(または方針を決定した日)
手術の説明と術前検査(血液検査)があります。医師から同意書に沿った説明,看護師から手術までの流れについて説明があります。
同意書には本人および配偶者(またはパートナー)の署名が必要です。未成年(18歳未満)の場合には保護者の署名が必要となります。
妊娠の相手が不明な場合,暴行等にかかわる妊娠の場合には,別に説明と確認書類があります。
手術前日までの準備
風邪を引いたり体調を崩すと手術が延期となる場合があります。体調を整えるようにしてください。
持病のある方や,他院で処方された薬を服用している方は,事前に服薬の確認と説明を受け,それに従って服薬を続けてください。
最近は華美なマニキュア・つけ爪・ネイルアートが流行していますが,手術時に酸素飽和度モニターを指に装着するため,最低でも左右1本ずつ,できればすべて外してきてください。手術や麻酔時にけがの可能性もあるため,すべて外していただくことを推奨します。
手術前日は過食を避け,普通の夕食をとりましょう。飲酒は避けてください。薬の服用がある方は,通常どおり(または指示どおり)服用してください。
手術当日の朝
当日朝の服薬については,事前の指示に従ってください。
麻酔と手術は空腹状態で行うため,朝食は摂らないでください。午前8時までに 250~500 mL程度の水分(水・お茶・スポーツドリンクなど)を飲み,それ以降は飲水もしないでください。
コンタクトレンズ・化粧・マニキュア・アクセサリーなどはすべて外してください。着替えやすい軽装で来院してください。
持ち物として,夜用などの大きいサイズのナプキンを5枚用意してください。
当日の来院は送迎やタクシーをご利用ください。麻酔薬を使用するため,手術当日の帰りは自分で車を運転することができません。
手術当日の来院後
同意書を必ずお持ちください。
受付窓口で手術費用を全額お支払いください。クレジットカードでの支払いも可能ですが,分割払いはできません。
(※同意書と手術費用がそろわない場合は,手術を行うことができません。)
看護師が回復室(個室)にご案内しますので,そこで手術着に着替えてお待ちください。
貴重品は各自で管理してください。ロッカー(ナンバーキー付き)をご利用いただけます。
その後,子宮頸管拡張の処置を行い,点滴を開始します。退院までの間,飲食はできません。
手術まで回復室で待機し,抗生剤点滴や鎮痛剤の坐剤挿入などの処置を順次行います。
手術
手術は昼ごろに行います。
原則として電動式吸引器を用いた吸引法で行い,必要に応じて掻爬を追加する場合があります。麻酔は簡単な全身麻酔である静脈麻酔を使用し,必要に応じて子宮の局所麻酔(傍頸管ブロック)を併用します。
手術後は回復室で休みます。最初のトイレ歩行は看護師が付き添いますので,一人で行かないでください。
麻酔の影響による嘔気・嘔吐や術後の腹痛がある場合,適宜点滴を追加して対応します。
退院・帰宅後
落ち着いたら退院・帰宅の準備をします。退院は概ね午後3時~4時ごろを予定しています。
帰宅後はまず飲水をしてください(水,湯ざまし,薄いお茶など)。その後,2~3時間横になって休んでください。
吐き気がなければ,少しずつ食事を再開してください。
麻酔の影響で急なめまいやふらつきがある場合がありますので,当日の夜から翌朝までは特に注意してください。
めまいやふらつきがなければシャワーを浴びても構いません。
夕食後から処方された薬を服用してください。翌日は体調を見ながら日常生活を再開してください。
手術翌日以降は出血やおりものが少なければ入浴も可能です。外出や仕事については体調に応じて判断してください。
しばらくしてから出血量が増える場合がありますが,続かない場合は様子をみてください。
腹痛,過度の出血,発熱などの体調不良がある場合は,早めに受診してください。
手術後の不調はまず当院で診察を受けてください。ただし,当院は無床診療所のため夜間や休日の診療は行えません。早めの受診をお願いいたします。
手術当日の朝
当日朝の服薬については,事前の指示に従ってください。
麻酔と手術は空腹状態で行うため,朝食は摂らないでください。午前8時までに 250~500 mL程度の水分(水・お茶・スポーツドリンクなど)を飲み,それ以降は飲水もしないでください。
コンタクトレンズ・化粧・マニキュア・アクセサリーなどはすべて外してください。着替えやすい軽装で来院してください。
持ち物として,夜用などの大きいサイズのナプキンを5枚用意してください。
当日の来院は送迎やタクシーをご利用ください。麻酔薬を使用するため,手術当日の帰りは自分で車を運転することができません。
術後の再診
手術から数日後~1週間以内に一度受診してください。診察をして異常がなければ,一連の中絶手術の診療は終了です。
今後,計画外の妊娠を繰り返さないことが重要です。避妊に不安がある場合は,ピルや子宮内避妊器具の挿入についてご相談ください。
また,月経痛・貧血・PMSなど日頃の不調がある場合は,引き続き診療を受けることをお勧めします。
費用について
原則として,すべて自費診療です。
初診日の診察・検査一式
約16,000円(税込)
手術当日の費用
妊娠9週までかつリスクのない方: 121,000円(税込)
妊娠10~11週およびリスクのある方(若年者,帝王切開既往,喘息などの合併症): 132,000円(税込)
術後の診察
3,300円(税込)
術後の避妊
ピルの処方: 2,000円(税込)
子宮内避妊器具 挿入処置: 38,500円(税込)